とある日 心のままに行動してみた
父という人がいるという町の駅に降りてみた
とりあえずコーヒーを飲み 考えた
父という人の家に行くには距離がある
電話をしてみるか・・・
何もない 話すことも 話す必要性も
相手の出方で話せばいいか・・・
電話はつながった
少し話した とてもぎこちなく とても不自然に
軽い幻滅で 電話を切った
誤解されるのを恐れ もう一度電話した
別に深い意味のある電話ではないと
さっきは淡々としていたのに
父という人は何度も 嬉しいと言った
赤ちゃんだった私を何も覚えてないとも言った
嬉しいという言葉より
この言葉が深く胸に堕ちた 意外にも痛かった
帰りの電車の中
ちょっとずつこぼれそうになる涙で困った
「1歳だったかな・・・2歳だったかな・・・顔が思いだせないほど
ちっちゃかったなぁ・・・」の声がこだまして
きょろきょろと何かを探している小さな小さな自分が見えた
あの頃からずっと私は消えてしまったモノを探していたのだろう
さっきまであったあったかさとか ぬくもりとか
余韻しか感じられない 実態のない不確かなもの
そんなリアリティのないモノに想いを寄せていたのだろう
そして 乗り換えの連絡通路を歩きながら
もうやめた~!!
なんてくだらない事に意識が向いていたんだ!
父を知らない人なんていっぱいいるのだ!
みんなみんなりっぱに生きているんだ!
あ~ くだらない!
もうやめた~!!
今ある現実で充分じゃないか
今あるモノが私の全てじゃないか
あったモノ あれば良かったモノは ないモノなのだ
心のままにとった行動は私に何を教えてくれたのだろう
この日の行動は何の意味があったのだろう
今も分からないままでいる・・・