同じ空間の中で 同じモノを見て 同じ曲を聴く
同じような時代を生き 同じように歳を重ねる
そんな人たちのコンサートだった
その時間その空間が70年代になった
見事にその時代 若者だった人たちで
そのほとんどが夫婦連れだった
私たちが若者だった頃
空気のように存在していた曲ばかり
自然に口ずさめるものばかり
間違いなく ココロは自由だと思った
ココロが自由で良かった
みんなそれぞれの思い出を想い浮かべている
隣に座る連れ添ってきた人のことなど
ココロの中にはないかのように
その人だけの過去や思い出が
自由に誰の邪魔もせず飛び交っていた
微笑みながら はしゃぎながら べそかきながら うつむきながら
私の隣に座るこの人は何を想い巡らせているのだろう
そう思いながら横顔をのぞいた
分からない
ココロの中は見えない
隣に座るこの人は私の知らない人になっている
ココロだけの人になって自由に泳いでる
そして
とても幸せな気持ちになって小さく笑ってしまった
良かった
ココロが見えなくて良かった
ココロが自由でほんとうに良かった
誰にでも自分だけの大切なものがある
語るべきものでもなく 見せるべきものでもない
ただ その人にしか分からない大切なもの
踏み込んではならない領域だ
何一つ同じではない たくさんの過去や思い出や想いが
一つの空間の中を自由に ひたすら自由に
舞い上がり 飛び交う
そのことにココロが満たされた
そう ココロは自由なのだ
間違いなく