昨年から楽しみにしてることがある。
通勤途中の時計。
その大きな時計は私を見て、ニッと笑う。
私は毎朝、してやられたり~!と完敗宣言をする。
何気ない毎朝の習慣になった。
一つ目の信号を渡ると、坂道になる。一気に立ちこぎをして上る。
そこから後は少しの間、左に弧を描いて下る坂道だ。
ペダルを踏まず、しばし風を受けながら風になる。至福の時だ。
その至福のひと時に、ポッとそいつが現れる。
実に大きな顔をして私に笑いかける。
うっ・・うっそ~、3時17分!?昨日は確か2時39分だったぞ・・。
そう、そこを通過する時間は毎朝8時のはずである。ずっと8時を告げてくれていた。
それが昨年のいつからか、反抗?抵抗?しだしたのだ。
最初、もう壊れたのかと心配した。が、ずっと動いている。はちゃめちゃに動いている。
セイカンな顔立ちだったぞ、出会った頃は。
なんだ~、今のその顔!ふざけてるぞ。人を小馬鹿にしてるようなうそつきの顔だぞ。
と、時を正確に刻まなくなった時は思った。
今は、楽しい愛嬌のある顔に見えてサ。ちょいワル時計ってとこか・・。
やってられね~んだよぅ!って言ってるようだ。
毎日毎日この単調さがイヤになっちまったんだよぅ!って。
さあ、どうだ。予測不可能な時の流れもいいもんだろ!?って。
今日は○時○分かな~?って、風になりながら予測する。
してやられたり~!
はずれっぱなしだ。
風になり気まぐれな時計と戯れる、楽しい朝の一コマである。