子ども達の迷いの中を一緒にさまよって・・だけど、彼らが確実に明るい方に顔を向けているのを感じ・・自分の心も軽くはずんだような気がしていたんだ。
けれど、おかしいんだ。何かがちょっと痛いんだ。
わけの分からない、乾いた涙がハラハラと落ちる。そう、とってもドライで重さのない涙の粒で、自分でも驚くほど自然にポロポロと落ちるもんだから戸惑ってしまった。
浄化してるんだろうな・・と思った。
こだわったつもりはないのに、漠然と心の中にあった絵と違っていくもの・・(例えば、高校に行かないと言った子どもの前で驚く親のような、結婚しないと言った子どもの前で驚く親のような、子どもを作らないと言った子どもの前で驚く親のような・・例えがおばさんぽくてごめんなさい・・願っているわけでもないのに自然にこうなるだろうと無意識に思い込んでいた事が崩れるような、とでも言えばいいのか)
私にもそういう陳腐な心があったんだな。悔しいけれど・・。自分の子どもであれ独立した個として認める気持ちと、この無意識に入り込んでいた気持ちとの葛藤がハラハラ・ポロポロと粒になってこぼれ落ちていたんだろう・・と思う。
もちろん陳腐な心の負けだよ。自分でも気づかないうちにできていたありふれた想いが子ども達のつかもうとしてる希望に浄化されているんだな・・。ハラハラ・ポロポロ・・・もっと落ちればいい・・と思った。
比叡の山の上から琵琶湖を見下ろしていた。
秋なのに春のような陽射しの中で、ずっと風に吹かれていた。
ただじっと、陽と風の声を聴きながら自分の心を調律していた。